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ブラジル:ティラピアの皮、火傷治療における「コロンブスの卵」

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広い火傷を負って、病室のベッドに横たわる22歳のFrancisco Rostana Gabrielの両足と片腕の火傷は魚の皮で覆われています。ブラジルのFortaleza市民病院の火傷専門科に入院している患者の火傷部分を覆う魚の皮は、カチコチに固まり、硬い皮に変化しています。

ガス爆発によって広範囲の火傷を負ったGrabrielは病院に運ばれ、傷口の消毒など通常の治療を受けましたが、翌日になって包帯を変える時には激痛に襲われ、再度焼かれるかのような痛みを感じました。

 その時、病院側のスタッフに魚の皮による治療の説明を受けました。「痛みが少なくて済む」という理由で承知し、「実際に痛みは良くなっている」と言います。Gabrielの火傷箇所を覆うためには40枚の皮が使用されました。他の場所では、遺伝子組換えをされた魚の皮の使用が知られています。

火傷を覆ったこの皮は、日が経つにつれて硬くなり、火傷部分の皮膚が再生するまでは剥がされません。取る際にはワセリンが使われます。従来の治療と違い取り替えの必要がないため、患者の負担が少なくて済みます。

ティラピアの皮の火傷治療は、Ceará (UFC)大学がDr. José Frotaセンターの協力の元、2015年に開始した研究の賜物です。工業では、この魚の皮の99%が廃棄されています。そこに目をつけた研究者達が皮の研究を始めたのがきっかけです。

他の国では、火傷の治療のために豚、カエルと犬の皮膚が使用されています。その結果をベースとして、ティラピアの皮の利用を考えました。調査してみると、この魚の皮のコラーゲン量が高く、圧に強く、保湿力があるため人間の皮膚に吸着し、火傷の合併症である乾燥を防ぎます。そして、現在のところ原料は無料です。

ティラピアの皮のII度熱傷への利用はまだ研究段階であるため、全員に応用されていません。年齢と火傷の状態の他に、患者の意思確認が必要です。「魚臭さを嫌がって使用を拒否した患者もいます。」

ティラピアの皮は、UFC大学における特殊な処理と殺菌後、サンパウロの研究所でウィルス除去のための照射処理を受けたあと大学に戻ってきます。その後、3、4度の温度で最高2年間まで保管できます。その状態になるまでに7日から10日間かかり、魚臭は完全に取り除かれます。

 

 

El profesor Odorico Moraes exibe pieles de tilapia listas para uso.
処理後のティラピアの皮を見せる、Odorico Moraes プロフェッサー。

 

 

現在は、1000枚のティラピアの皮が大学の皮バンクに保管され、必要に応じて補充されています。6月のSan Fuanフェスティバルの時期には需要が伸びます。火祭りで、キャンプファイヤーや灯篭を飛ばした際に火傷を負う人々が増えるからです。

また、火傷患者の97%が低所得層だとUFC大学のOdoriko Moraesプロフェッサーは言います。多くは、電気ショックや熱湯が原因です。6歳の児童は、兄弟喧嘩の際に姉に熱湯をかけられ脚に火傷を負いました。31歳の母親は魚の皮の使用を認め、2日後には従来よりも早い回復を見せています。

「これは、まるでコロンブスの卵」のような発見だとOdorico Moraesプロフェッサーは表現します。

「ティラピアの生育は早く、重さが増えるスピードも早い。雑食で、どこでも飼育され、環境への適応能力に優れています。」

そのため、使用には現実味があります。コストは、10×20センチの皮一枚が2,5から3ドルくらいですが、商品化されるまでは市場コストは確かではありません。現在は大量生産のための研究所の選出段階であり、その後はブラジルの保健管理センターAnvisaでの承認を得て、商品化される予定です。

火傷治療以外にも、歯のインプラント、骨の形成と女性器の形成に応用されました。女性器が形成されないまま生まれる「ミュラー管無発生」の患者2名の手術に使われ、優れた結果が得られました。

 

 

ティラピアの皮で治療を受けるFrancisco Rostana Gabriel。

 

 

痛みの測定

治癒力の他に、研究者はティラピアの皮の抗炎症及び鎮痛特性を調べています。「患者の痛みが和らぐという感覚が皮によって傷口が隔離される事によるものなのか、または抗炎症作用があるのか調べる価値はあります。確かなのは、従来の治療を受けている患者よりも鎮痛薬の服用が少なくて済むという点です。」

痛みを測るためには、痛覚を測る機械が使用されています。シリコンの先端で患者の体の火傷の無い部分を押し、圧の感覚を言ってもらいます。機械は圧の度数を測定します。同じことを火傷付近の部分で行い、平均値を測定します。それによって痛みの軽減を観察します。

「従来の治療法とティラピアの皮の治療法では痛みの閾値に大きな違いがあるということがわかっています。」

 

 

情報源: La piel de tilapia, en “el huevo de Colón” para tratar quemaduras en Brasil | Internacional | EL PAÍS

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