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アルゼンチン:消息不明の潜水艦ARA San Juanによって、アルゼンチンの軍事予算不足が浮き彫りになる

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11月15日に南大西洋で消息不明となったアルゼンチン軍の潜水艦ARA San Juanの捜索が続いています。最後の連絡があった3時間後(15日)に爆発音が確認されたとの報告もありました。

 

この出来事によって、1980年以降の独裁政権終了後の軍事予算不足と訓練不足が浮き彫りとなりました。南米第2の経済国であるアルゼンチン政府にとって軍事予算は優先的ではなく、この数十年の重なる経済危機によって軍事予算は僅か1%程でした。

 

その理由から、軍事アナリストや政府関係者は今回の潜水艦消息不明事件が発生してしまったように、何か事件が起きる兆候があったと証言しました。

 

「独裁政権が侵した人権侵害は、社会と軍隊の繋がりを破った。多くの国民は軍隊に興味を示さない、そのため政治家は軍事又は防衛に関する政治を保つことに興味を示していない。」と、CRIESのリサーチグループ代表Andrei Serbin Pontは示します。

 

報道機関ロイターが収集した世界銀行のデータによると、1982年のイギリスとのフォークランド戦争の敗北と翌年の独裁政権崩壊以来、軍事支出は国内総生産(GDP)の2.16%から2011年には最低の0.87%に減少しています。

昨年はGDPの0.96%まで回復を見せていますが、ブラジルとチリの1.3%と1.9%から比べると依然として少ない値です。

現状では、潜水艦ARA San Juanの消息不明原因を決定するには早い段階ですが、軍事予算不足を指摘する考えは一定しています。

 

Jane’s Sentinel 専門掲載誌によると、2014年に潜水艦が潜航した時間は19時間で、「運用と訓練に必要とされている訓練時間」190日と比較されました。

 

「潜水艦がほとんど使われていなかったという事実は、問題が熟していたという事を表している。」と、米国の専門家Evan Ellisは指摘します。

 

誰か死ななければならないのか?”

 

マクリ大統領は2015年の選挙の際に軍隊を強化するマニフェストを行いました。2016年の報告書には国防省の予算の70%が、投資ではなく、給与と恩給に消えたと記されています。

有力な立法者Elisa Carrióは、テレビインタビューで「彼らが働く条件は事実上不可能です。それは、全ての部隊に対しても同じです。」とコメントしました。

マクリ政権発足の2015年後、軍事的財政状況は改善を見せていません。2018年に国防省に考慮されている予算は14%上昇していますが、予想インフレ率15.7%よりも低い値です。

 

3月には、当時の国防大臣Julio Martínezが、アルゼンチンには、老朽化していく軍機又は軍艦を買い換えるお金がないとロイターにコメントしています。

 

Jane’s Sentinel 専門掲載誌によると、潜水艦ARA San Juanはドイツで製作され、1983年に進水、2008年にディーゼル式モーター4台とプロペラ電動機の交換を含む改修が行われています。

最後の通信が行われた11月15日には、電気的故障が報告されました。その後の、マクリ大統領と乗組員44人の家族数人との緊迫したやりとりのビデオが掲載誌Perfilに投稿され、潜水艦の状態に対する心配が広まりました。

「変化が起きるためには、誰かが死ななきゃならないのか?」

「 もっと以前に投資することはできなかったのか?」

 

と、一人の乗組員の妻が大統領に問いかけました。その問いに対して大統領は、潜水艦の年数よりもメンテナンスの方が重要で、艦の状態は万全であったと答えました。

アルゼンチンの報道機関によると、搜索は、海軍と国防省の摩擦を引き起こし、民間当局は軍が情報を提供していない事に懸念を抱いていると報道しました。が、海軍関係者はそのことを否定しています。

公的に発言する権限を持たない省庁の関係者は、ロイター通信に対して、この事件に関する調査が開始され、捜索作業が終了した時点で刑事告発になる可能性を否定できないとコメントしました。

 

 

 

情報源: La desaparición del submarino ARA San Juan pone de relieve el escaso presupuesto militar argentino

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